昨夜はRandwick Town Hallで「Bach in the dark」というチェロのコンサートを観てきた。 Rachel Scottというチェリストが主催するコンサート・シリーズで、バッハの曲を主に演奏する。 この夜はCello and Celloということで、David Pereiraと2台のチェロでの共演。 レイチェルもデイヴィッドも自由闊達にチェロを弾き、叩き、歌い、曲の解説やジョークを交え、とても楽しくて興味深いコンサートだった。 二人は音楽教育者としても有名で、「Bach in the dark」のサイトに、レイチェルが子供たちと一緒に演奏している様子がアップされている。 デイヴィッドは作曲もし、このコンサートでも2曲演ってくれた。 作曲家はいいメロディーはヴァイオリンに弾かせようとするので、ぼくが自分で作ることにしたんだ、と言って笑っていた。
今日はSydney Town Hallへ「The Music of Andre Rieu Spectacular」というコンサートを聴きに行ってきた。 Andre Rieuが作り上げたクラシカル・ミュージック・ショーの縮小コピー版なのだが、ホストを務めるIan Cooperを始め、ミュージシャンやパフォーマー全員が凄腕で、素晴らしいコンサートだった。 オペラやミュージカルの名曲、バレエからモダンダンスに39名の少年少女合唱団を加え、2時間、あっという間の楽しいステージを堪能した。
Sydney Town Hallは内装が豪華で、音響もいい。以前、ここで林英哲の太鼓を聞いたが、天井が高いので響きが良く迫力があった。また機会があったら来たいものだ。
Tamworthでは今週末までCountry Music Festivalをやっている。 先週ぼくらも、炎天下の通りで歌うバスカーを始め、ホテルやパブ、ローカルクラブで、たくさんのギグを観た。 今回は早めにシドニーに戻って来なければならなかったので、毎年楽しみにしている「Andrew Clermont's Super Club」は見逃したが、他のお気に入りのバンドを観られてよかった。 まずは、「The Perch Creek Family Jug Band」 Country Music Festivalの初日の午前中、Longyard Hotelでの演奏は、いつものように楽しいステージだった。 40℃近い暑さの中、Outside Deckで2時間歌って踊るのは大変だ。
「Tamworth Country Music Festival」は今年で40周年を迎えた。シドニーから7時間もかかる田舎町で、こんなに長く音楽祭が続いているのはすごい。演奏者も観客も10代から80代まで楽しんでいる。 カントリー・ミュージックの祭典とはいえ、音楽の幅はもっと広い。ヘビメタとかノイズとかはないが。 参加ミュージシャンがあまりに多いのでいつも選ぶのに困る。ガイドブックで調べたり、あちこちに貼られたポスターを見て決めたりするが、もちろんほんの少ししか聴けない。 街に出るとあらゆる所から音楽が聞こえてくる。ストリートでバスカーズを見ながら、 ショッピングセンターで、ランチを食べながら、 朝から晩までビールを飲みながらホテルのパブに入り浸っていてもいい。 それから毎年観に行っている「Andrew Clermont's Super Club」。ここではアンドリューが集めた選り抜きのミュージシャンによる、枠にとらわれないあらゆる音楽が聴ける。 昨年アデレードからタスマニアへ移り住んだバンジョー奏者のMontz(松本もんつ)さんと再会。ここへ来れば毎年Montzさんのプレイが聴けるのでうれしい。 「Hang Drum」という、スイスで生まれたスティールドラムを初めて聴いた。下はディジュリドゥとボンゴとのアンサンブル。 中華鍋を2つ合わせたような形状で、アンドリューがUFOみたいな楽器と紹介していた。カリビアンよりずっとドローン系の音色で面白い。 Hang Drumの詳しい解説と試聴はこのサイトで。
今日はシティの南、チャイナタウンにあるSydney Entertainment Centreで「The Premier's Senior Week Gala Concerts」を観てきた。毎年2回、3月と12月に開催される無料コンサートで、ぼくはまだシニアの年齢ではないのだが、いつも友人のオディがぼくらの分もチケットを手に入れてくれるので、皆で一緒に観に行っている。 今回のコンサートは「Black Piano White」というタイトル。ステージの上にはスタインウェイのグランドピアノが2台置かれていた。10人のミュージシャンが入れ替わり立ち替わり、歌とピアノを披露する。選曲がなかなかよくて、クラシックからジャズ、ラグタイム、ポップス等いろいろな音楽をうまく組み合わせてある。 「ラプソディー・イン・ブルー」はピアノ・ヴァージョンだし、「ハンガリアン・ラプソディ」には途中でオーストラリア国歌やワルチング・マチルダの一節を挿入して遊んでいた。歌モノもジャズ・スタンダードの「I love a piano」から、バリー・マニロウ、ビリー・ジョエル、スティーヴィー・ワンダー、エルトン・ジョンと、シニア層にちょうど良い選曲。 最後の方で、7才のチャイニーズの女の子が「Two Little Birds」という小曲を見事に弾いて皆びっくり。小さな女の子が弾くのにぴったりの可愛い曲で気に入った。誰の曲か知らなかったので、うちに帰ってから調べてみたら、Frank Hutchens(1892-1965)という、オーストラリアでは有名な人だった。フランク・ハチェンズはニュージーランドで生まれ、ロンドンのRoyal Academy of Musicでピアノを学び、シドニーのNSW Conservatorium of Musicで50年も教授をしていたそうだ。 NSWでは3月と12月に一週間、Seniors Weekといって、各地で様々なイヴェントが開催される。無料のコンサートやヨーガ教室、ウォーキング・ツアー、映画が$2で観られるとか、クルーズが25%引きになるとかの特典も多い。こんなにメリットがあるなら早くシニアになりたいものだと思う(^.^)。
昨夜は、エドナ&オディと一緒に「Christine Anu & Deni Hines」のジョイントコンサートを観てきた。2曲ほど一緒に歌ったが、それぞれ1時間ずつ別々のステージをやった。 Christine Anu(クリスティーン・アヌー)は1970年生まれ、両親はケアンズの北の方にあるトレス海峡諸島(Torres Strait Islands)の出身。いわゆるAborigines and Torres Strait Islandersを代表する歌手の一人だ。エドナは10年前にAnuが出演したミュージカル「Rent」を観て、歌もダンスもすばらしかったそうだ。「Moulin Rouge!」や「The Matrix Reloaded」などの映画にも出ている。1995年の「Stylin Up」でプラチナ・アルバムを獲ったり、2000年シドニー・オリンピックの閉会式で歌うという、オーストラリアでは国民的人気がある。彼女の歌のベースはアメリカのR&Bで、あまりオーストラリアっぽくもなく、ぼくにはちょっと物足りないが、"Sunshine On A Rainy Day","My Island Home","Dive","Coz I'm free"は気に入った。 尚、Deni Hinesのほうは全然好みではなかった。まあ聞けたのはプロコル・ハルムの「A Whiter Shade Of Pale 」くらい。オディなんか途中で出て行った。
昨夜スーとサムがうちに夕食にきた。サムは先週火曜日にウガンダから来て、今回は3ヶ月滞在できるという。シドニーは夏だと思ったのに寒いと嘆いていた。 夕食後4人でPaddingtonにあるEastside Music Cafeへ。カフェといっても古い教会で、中央に小さなステージが作られている。真っ白なクロスを敷いたテーブルにはキャンドルが飾られ、とても良い雰囲気だ。天井が高いので、音がきれいに広がっていい。チケットは$15と格安で、しかもワンドリンク付き。入り口のバーでワインをもらっていると、スーの友人のイザベルに会った。メインアクトは「Wheeze and Suck Band」なのだが、イザベルのグループが前座で出るのだ。スーとイザベルは同じアカペラのグループで歌っているのだが、この日は彼女はブルーグラスのバンドでベースを弾き歌った。お客は顔見知りが多いのか、ヤジのやりとりをしながら、終始リラックスした演奏だった。 イザベルのグループが45分演った後、続いてWheeze and Suck Bandの登場。wheezeというのは喘息のゼーゼーという息のことだが、俗語としては「悪ふざけ、いたずら」という意味。suckは「吸う」だが「最低、最悪」という意味もある。いずれにせよおかしな名前で、こういうふざけたネーミングは実はイギリスらしいのかもしれない。 彼らはイングランドのトラッドをもとにしたダンスミュージックを演る。 メインヴォーカルは、編み上げブーツを履いて黒いワンピースの上に真っ赤なロングコートを着た禿頭の爺さんだ。アコーディオンを弾きながら歌い、ステージから降りてきてイングリッシュ・ダンスを踊って、1時間半楽しませてくれた。彼らのサイトはここ。
South Juniors Clubに限らず、オーストラリアでは、たくさんコピーバンドが演奏している。定番のElvisなんか毎週どこかのクラブでやっているだろう。ぼくらもBeatles, Beach Boys, Mickael Jackson等いろいろ観た。Bee Gees, ABBA はなかなかよかったが、Queen と Billy Joel はひどかった。 コピーバンドを観るたびに、それが技術的に優れていれば優れているほど、オリジナルのすごさがわかる。アマンダの声はきれいだし、とてもうまいと思う。それでもどうしてもオリジナルにはかなわない。ほんの少しだが、やはり何かが欠けているのだ。
オーストラリアの音楽についてはいずれまとめて書きたいが、今のところ一番気に入ってバンドは、Midnight Oil, Brother, The Living End, Augie March, Tinpan Orange。 Midnight Oil以外は現役だが、日本ではあまり聞かれないかもしれない。彼らのサイトや www.myspace.com で数曲試聴出来る。 Nick CaveやSPK, Bee Gees, AC/DC以外のAussie Rockに興味のある方はぜひ聞いてみてほしい。
夜、OvationというTV局で「The Doors Live in Europe」を観る。1968年のヨーロッパ・ツアーの様子で、当時一緒にツアーしたJefferson AirplaneのPaul KantnerとGrace Slickが語るエピソードが挿入されている。ステージの途中、すでにドラッグ漬けだったジム・モリソンが倒れて歌えなくなり、しかたなく代わりにレイ・マンザレクが歌ったこともあるそう。まあ、この演奏場所はアムステルダムだしね。 映像は白黒。簡素な照明の中で壮絶なステージが繰り広げられる。この時期、ジム・モリソンの声と3人の演奏は奇跡的に素晴らしい。4人とも自分の中から生まれる感情をじっと見つめてるようだ。レイ・マンザレクはほとんどキーボードに突っ伏し、ジム・モリソンは時々客席に背を向けてドラムの方をぼんやり見ていたりする。 それでも観客をまったく無視しているわけではない。"The Unknown Soldier"では銃殺シーンのパフォーマンスをやり、長い長い"Light My Fire"の間奏中、ジム・モリソンが客席に降りてきて、最前列の女の子にマイクを差し出して叫ばせたり、ステージ下に潜ったりして遊んでいる。 すぐれた音楽がそうであるように、ここには静と動、喜怒哀楽、強さと弱さのすべてがある。ロックは死ぬかもしれないが、音楽は終わらない。