一昨日の夜、NewtownにあるライヴハウスThe Vangardで「The Crooked Fiddle Band」を観てきた。
Crookedとは歪んだ・曲がったという意味。オーストラリアが誇るHardcore Gypsy Chainsaw-folkなんて呼ばれている、シドニーの4人組で、激しく楽しいタテノリのダンスミュージックをやる。
ルーマニアのジプシー・バンド「Taraf de Haidouks」ばりの速弾きヴァイオリンに、太った酔っ払いおやじがシンバルを多用してどっしゃんばっしゃんぶっ叩くドラムス。ブズーキとダブルベースもドライヴ感がすごい。
あの「Big Black」のSteve Albiniと一緒にシカゴで録音したアルバムがもうすぐ発売されるとのこと。確かに「The Crooked Fiddle Band」のリフは「Big Black」のKeroseneとかBad pennyを彷彿とさせるので、アルビニは適役だろう。どんな音になっているか楽しみだ。
彼らのサイトで、ヴィデオが見られる。
「The Milkman」
ぼくは、The Bohemian Masquerade Ballと一緒にやった、「The Rom Rebellion」が気に入った。このbizarreなステージは楽しい。
ヴォーカルがいないのがちょっと残念。ぼくはやっぱり歌が聴きたい。でも彼らの音に負けない歌い手はいるかな? シリアスかつ滑稽で、壮絶な声とひょうきんな性格の持ち主は、ジョン・ライドンか町田康か大槻ケンヂくらいか。
2011年05月10日
2011年01月31日
Tamworth ~ Country Music Festival

タムワースでは毎年1月中旬に「Country Music Festival」が開催される。普段は静かなこの田舎町が大勢の人で賑わい、大小様々なライヴ会場、パブやショッピングセンター、街角から音楽が流れてくる。選ぶのが大変なので、スケジュールの載っているフリーペーパーを手に入れるといい。

街のメインストリートでは、一人で、子供たちで、家族総出で、皆ライヴをやっている。ストリート・ミュージシャンはbuskersという。



外を歩いて暑くなったら、クーラーのきいたショッピングセンターへ。ここでも毎日無料のコンサートをやっている。


夜はパブの裏庭で食事をとりながらライヴを聴ける。

ぼくらは、去年に引き続き「Andrew Clermont's Supper Club」を観に行ってきた。2メートル近い長身痩躯のアンドリューは今年50才、タムワースに住んでいる。彼はカントリー・ミュージック・フェスティヴァルの期間、タムワースの北にあるボウリングクラブを1週間ほど貸しきって、たくさんのミュージシャンを集め、毎晩6時と9時からライヴをやっている。13年も続いているのはすごいことだ。ここでは様々なスタイルの音楽が聴けるので楽しい。
youtubeにこのSupper Clubの様子がアップされているので、そこからいくつか。
第二部は夜9時から、Piano Night, Fiddle Night, Banjo Nightなどと、毎回趣向を凝らしている。これはジプシー・フィドルの競演。
「Supper Club」は二度観に行った。このライヴにいつも出演されている、アデレード在住の日本人バンジョー・プレイヤーMontz Matsumotoさんにお会いし、彼のCD「Banjo Moon」を買って、サインしていただいた。
Piano Nightの最後、John Butler Trioの名曲「Ocean」を若いギタリスト3人でやって、これがとても良かった。

下はジョン・バトラーの原曲。波のうねりが見えるようないい曲だ。
2010年03月21日
Opera in the Arboretum at Pearl Beach

シドニーから車で2時間北にあるPearl Beachは静かで居心地の良いビーチだ。去年のクリスマスはこの浜辺で、友人のスーたちと一緒にランチを食べ、泳いで過ごした。この野外オペラのコンサートを教えてくれたのもスーだ。
会場はビーチから少し内陸部に入ったところにあるnative plantsのbotanic gardenの一郭で、Arboretumという。
駐車場からシダの生い茂る細い道を5分くらい歩くと、大きな木々に囲われた広場に出る。ここがコンサート会場だ。

観客は皆、イス・テーブル・ワインとつまみを持参。開始時間の午後3時になると、日陰ができてきてすごしやすい。
歌い手は女性二人、男性二人。皆素晴らしい声で、それにオペラに必要な表現力というか押し出しの強さを備えているので、見ていて楽しい。
カルメン、マノン、ドン・ジョヴァンニ、トスカなど有名どころから、フォーレの「En Priere」のような小曲まで、ヴァラエティに富んだ選曲。また第二部の後半に、「レ・ミゼラブル」「オペラ座の怪人」など、親しみやすいミュージカル・ナンバーをもってきた構成もよかった。

オーケストラは皆若いが、オペラの合間に演奏されたモーツァルトのコンチェルトやショパンの雨だれはみずみずしく、梢を見上げると、音が空に溶けていくようだった。
時々鳥の鳴き声が絶妙のタイミングでピッコロのように響いて可笑しい。

アンコールの最後は、La Traviataから例の「乾杯の歌」。休憩を挟んで2時間以上、森の中での贅沢な時間を楽しんだ。
このコンサートは今年で5回目。回を重ねるごとに評判は高まり、1000人もの人を集めている。来年も楽しみだ。
2009年08月25日
「Tinpan Orange」Live at The Vangauard

2009年8月22日、NewtownのThe Vanguardでのライヴ。
「Tinpan Orange」はメルボルン出身の姉弟エミリーとジェシーのバンド。初期にはドラムやベースもいたが、やかましいのでクビにしたとのこと。ヴァイオリンのアレックスが加わって3人組となった。
この日は3作目になる「The bottom of the lake」のCD発売記念コンサートだった。めったにシドニーには来てくれないので、ナマで見られる貴重な機会だ。昔、バルメインのホテルで演った時は、観客が8人しかいなくて、しかもそのうち6人は知り合いだったそうだが、この夜のヴァンガードは満員。1階にあるテーブル席(ディナーが食べられる)はsold outだった。
ぼくらは2階の一番前の席を確保。2年前ダーウィンのライブハウス「Happy Yess」で見た時に比べて、彼らは遙かにプロっぽくなっていた。以前は歌うだけで精一杯だったようなエミリーも、ステージから積極的に観客へ話しかけ、真っ赤に染めた髪がとても可愛い。
夜11時まで、1時間15分のステージは新アルバムからの曲を中心に、以前のアルバムからBalconyやCounting Songもやってくれた。アレンジを変え、激しい感じになっていた。
3人+サポートのkeyだけだが、力強くなった彼らの音にはヴァンガードは狭すぎる。Opera Houseの小ホールかState Theatreでやってほしいくらいだ。
彼らは「Darwin Festival」に出演するため、翌朝の飛行機でダーウィンへ向かうという。こちらもチケットは売り切れとのこと。興味のある人は彼らのサイトwww.tinpanorange.com
やmyspace.comで聴いてみてほしい。エミリーの不思議な声に魅了されると思う。
いつかまた彼らのライヴを観るのが楽しみだ。
2009年03月16日
「The Premier's Senior Week Gala Concerts」at the Sydney Entertainment Centre

今日はシティの南、チャイナタウンにあるSydney Entertainment Centreで「The Premier's Senior Week Gala Concerts」を観てきた。毎年2回、3月と12月に開催される無料コンサートで、ぼくはまだシニアの年齢ではないのだが、いつも友人のオディがぼくらの分もチケットを手に入れてくれるので、皆で一緒に観に行っている。
今回のコンサートは「Black Piano White」というタイトル。ステージの上にはスタインウェイのグランドピアノが2台置かれていた。10人のミュージシャンが入れ替わり立ち替わり、歌とピアノを披露する。選曲がなかなかよくて、クラシックからジャズ、ラグタイム、ポップス等いろいろな音楽をうまく組み合わせてある。
「ラプソディー・イン・ブルー」はピアノ・ヴァージョンだし、「ハンガリアン・ラプソディ」には途中でオーストラリア国歌やワルチング・マチルダの一節を挿入して遊んでいた。歌モノもジャズ・スタンダードの「I love a piano」から、バリー・マニロウ、ビリー・ジョエル、スティーヴィー・ワンダー、エルトン・ジョンと、シニア層にちょうど良い選曲。
最後の方で、7才のチャイニーズの女の子が「Two Little Birds」という小曲を見事に弾いて皆びっくり。小さな女の子が弾くのにぴったりの可愛い曲で気に入った。誰の曲か知らなかったので、うちに帰ってから調べてみたら、Frank Hutchens(1892-1965)という、オーストラリアでは有名な人だった。フランク・ハチェンズはニュージーランドで生まれ、ロンドンのRoyal Academy of Musicでピアノを学び、シドニーのNSW Conservatorium of Musicで50年も教授をしていたそうだ。
NSWでは3月と12月に一週間、Seniors Weekといって、各地で様々なイヴェントが開催される。無料のコンサートやヨーガ教室、ウォーキング・ツアー、映画が$2で観られるとか、クルーズが25%引きになるとかの特典も多い。こんなにメリットがあるなら早くシニアになりたいものだと思う(^.^)。
2008年05月10日
「Christine Anu & Deni Hines」at South Juniors Club

昨夜は、エドナ&オディと一緒に「Christine Anu & Deni Hines」のジョイントコンサートを観てきた。2曲ほど一緒に歌ったが、それぞれ1時間ずつ別々のステージをやった。
Christine Anu(クリスティーン・アヌー)は1970年生まれ、両親はケアンズの北の方にあるトレス海峡諸島(Torres Strait Islands)の出身。いわゆるAborigines and Torres Strait Islandersを代表する歌手の一人だ。エドナは10年前にAnuが出演したミュージカル「Rent」を観て、歌もダンスもすばらしかったそうだ。「Moulin Rouge!」や「The Matrix Reloaded」などの映画にも出ている。1995年の「Stylin Up」でプラチナ・アルバムを獲ったり、2000年シドニー・オリンピックの閉会式で歌うという、オーストラリアでは国民的人気がある。彼女の歌のベースはアメリカのR&Bで、あまりオーストラリアっぽくもなく、ぼくにはちょっと物足りないが、"Sunshine On A Rainy Day","My Island Home","Dive","Coz I'm free"は気に入った。
尚、Deni Hinesのほうは全然好みではなかった。まあ聞けたのはプロコル・ハルムの「A Whiter Shade Of Pale 」くらい。オディなんか途中で出て行った。
2007年12月09日
Wheeze and Suck Band

昨夜スーとサムがうちに夕食にきた。サムは先週火曜日にウガンダから来て、今回は3ヶ月滞在できるという。シドニーは夏だと思ったのに寒いと嘆いていた。
夕食後4人でPaddingtonにあるEastside Music Cafeへ。カフェといっても古い教会で、中央に小さなステージが作られている。真っ白なクロスを敷いたテーブルにはキャンドルが飾られ、とても良い雰囲気だ。天井が高いので、音がきれいに広がっていい。チケットは$15と格安で、しかもワンドリンク付き。入り口のバーでワインをもらっていると、スーの友人のイザベルに会った。メインアクトは「Wheeze and Suck Band」なのだが、イザベルのグループが前座で出るのだ。スーとイザベルは同じアカペラのグループで歌っているのだが、この日は彼女はブルーグラスのバンドでベースを弾き歌った。お客は顔見知りが多いのか、ヤジのやりとりをしながら、終始リラックスした演奏だった。

イザベルのグループが45分演った後、続いてWheeze and Suck Bandの登場。wheezeというのは喘息のゼーゼーという息のことだが、俗語としては「悪ふざけ、いたずら」という意味。suckは「吸う」だが「最低、最悪」という意味もある。いずれにせよおかしな名前で、こういうふざけたネーミングは実はイギリスらしいのかもしれない。 彼らはイングランドのトラッドをもとにしたダンスミュージックを演る。

メインヴォーカルは、編み上げブーツを履いて黒いワンピースの上に真っ赤なロングコートを着た禿頭の爺さんだ。アコーディオンを弾きながら歌い、ステージから降りてきてイングリッシュ・ダンスを踊って、1時間半楽しませてくれた。彼らのサイトはここ。
2007年08月04日
tribute to Fleetwood Mac

昨夜は、South Juniors ClubでFleetwood Macを観てきた。といってももちろん本物ではない。ようするにコピーバンドだ。
ヘレンとクラブのビストロで食事した後、ラウンジでコーヒーを飲んでいたとき、アマンダに会った。なんと今夜のステージで歌うと言うのでびっくりした。アマンダはエドナの一人娘だ。大学卒業後、日本に行き、名古屋で英語と音楽を教えていた。シドニーに戻ってきてからも、大学で音楽を教えたり、ステージで歌っている。同じくミュージシャンのサイモンと去年結婚したばかりだ。ぼくらと話しこんでいて開演が迫ってきたアマンダは、早く着替えなくちゃとあわてて控え室へ駆けていった。上の写真は巻き毛にしていた頃のアマンダ。普段は真っ赤なストレートだ。
コンサートホールは3階にある。ステージの上は、女3人男5人の大所帯だった。5人もいるヴォーカリストはそれぞれ違った味があり、バンドもいい音を出していた。特にドラムスとギターはすばらしかった。
South Juniors Clubに限らず、オーストラリアでは、たくさんコピーバンドが演奏している。定番のElvisなんか毎週どこかのクラブでやっているだろう。ぼくらもBeatles, Beach Boys, Mickael Jackson等いろいろ観た。Bee Gees, ABBA はなかなかよかったが、Queen と Billy Joel はひどかった。
コピーバンドを観るたびに、それが技術的に優れていれば優れているほど、オリジナルのすごさがわかる。アマンダの声はきれいだし、とてもうまいと思う。それでもどうしてもオリジナルにはかなわない。ほんの少しだが、やはり何かが欠けているのだ。
オーストラリアの音楽についてはいずれまとめて書きたいが、今のところ一番気に入ってバンドは、Midnight Oil, Brother, The Living End, Augie March, Tinpan Orange。
Midnight Oil以外は現役だが、日本ではあまり聞かれないかもしれない。彼らのサイトや www.myspace.com で数曲試聴出来る。
Nick CaveやSPK, Bee Gees, AC/DC以外のAussie Rockに興味のある方はぜひ聞いてみてほしい。
2007年04月23日
太陽を待ちながら
まる一日、雨が降ったり止んだりで、結構うんざり。天気予報では今週いっぱい雨の模様。晴れてくれないとレンガ貼りができなくて困る。外壁がないといくらシドニーでも冬は寒いのですよ。
夜、OvationというTV局で「The Doors Live in Europe」を観る。1968年のヨーロッパ・ツアーの様子で、当時一緒にツアーしたJefferson AirplaneのPaul KantnerとGrace Slickが語るエピソードが挿入されている。ステージの途中、すでにドラッグ漬けだったジム・モリソンが倒れて歌えなくなり、しかたなく代わりにレイ・マンザレクが歌ったこともあるそう。まあ、この演奏場所はアムステルダムだしね。
映像は白黒。簡素な照明の中で壮絶なステージが繰り広げられる。この時期、ジム・モリソンの声と3人の演奏は奇跡的に素晴らしい。4人とも自分の中から生まれる感情をじっと見つめてるようだ。レイ・マンザレクはほとんどキーボードに突っ伏し、ジム・モリソンは時々客席に背を向けてドラムの方をぼんやり見ていたりする。
それでも観客をまったく無視しているわけではない。"The Unknown Soldier"では銃殺シーンのパフォーマンスをやり、長い長い"Light My Fire"の間奏中、ジム・モリソンが客席に降りてきて、最前列の女の子にマイクを差し出して叫ばせたり、ステージ下に潜ったりして遊んでいる。
すぐれた音楽がそうであるように、ここには静と動、喜怒哀楽、強さと弱さのすべてがある。ロックは死ぬかもしれないが、音楽は終わらない。
夜、OvationというTV局で「The Doors Live in Europe」を観る。1968年のヨーロッパ・ツアーの様子で、当時一緒にツアーしたJefferson AirplaneのPaul KantnerとGrace Slickが語るエピソードが挿入されている。ステージの途中、すでにドラッグ漬けだったジム・モリソンが倒れて歌えなくなり、しかたなく代わりにレイ・マンザレクが歌ったこともあるそう。まあ、この演奏場所はアムステルダムだしね。
映像は白黒。簡素な照明の中で壮絶なステージが繰り広げられる。この時期、ジム・モリソンの声と3人の演奏は奇跡的に素晴らしい。4人とも自分の中から生まれる感情をじっと見つめてるようだ。レイ・マンザレクはほとんどキーボードに突っ伏し、ジム・モリソンは時々客席に背を向けてドラムの方をぼんやり見ていたりする。
それでも観客をまったく無視しているわけではない。"The Unknown Soldier"では銃殺シーンのパフォーマンスをやり、長い長い"Light My Fire"の間奏中、ジム・モリソンが客席に降りてきて、最前列の女の子にマイクを差し出して叫ばせたり、ステージ下に潜ったりして遊んでいる。
すぐれた音楽がそうであるように、ここには静と動、喜怒哀楽、強さと弱さのすべてがある。ロックは死ぬかもしれないが、音楽は終わらない。