
「Saving Mr Banks」は「メリー・ポピンズ」がディズニー映画として1964年に公開されるまでの制作物語。
原作者のP. L. Traversはとてつもなく気難しく、そんな彼女に手を焼きながらもなんとかいい映画をつくろうと努力する制作チームのやりとりがおもしろい。
トム・ハンクスが演じたウォルト・ディズニーがとても魅力的だ。
トラヴァースはアメリカ人のフレンドリーな態度も甘いドーナツもコーヒーも大嫌いで、制作チームが用意した絵コンテや音楽に、あれが気に入らない、これもダメと難癖を付ける。
ペンギンが踊るシーンに、彼女が大嫌いなアニメーションを使うと知って、翌日いきなりロンドンへ帰ってしまう。
驚いたウォルト・ディズニーは彼女を説得するため独りでロンドンへ飛ぶ。
そんなトラヴァースもついに「Let's Go Fly A Kite」を一緒に歌い踊り出す。
トラヴァースがくりかえし思い出すのは、生まれ故郷のオーストラリアの田舎町での日々だ。
Pamela Lyndon Traversの本名はHelen Lyndon Goffといい、ペンネームに自分の父親の名前であるTraversを使った。
彼女の父Travers Goffは銀行員だった。仕事で行き詰まった彼は酒に溺れ、肺を病み、彼女が8歳の時に死んでしまう。
映画の中でトラヴァースが言ったように「メリー・ポピンズ」は子供たちを救うお話ではない。
父親との楽しい思い出と、父親を助けられなかった悲しみがないまぜになっている。
だからこの映画のタイトルは「Saving Mr Banks」なのだ。
以前、ミュージカルを見に行った時に書いたが、「メリー・ポピンズ」は家族再生の物語である。
これからも皆に読み継がれていってほしいものだ。
原作者のトラヴァース自身は結婚もせず家族もなく孤独に死んだ偏屈者だったが。
http://homestayinsydney.sblo.jp/article/52077302.html