
Wayne Blairの「The Sapphires」が公開されたので早速観に行ってきた。8年ほど前にオーストラリアでヒットした同名のミュージカルの映画版である。
時は1968年、アボリジニのコロニーで仲良く育った歌が大好きな4人の女の子が、ヴェトナム戦争中のアメリカ軍キャンプ地へ慰問に行く。
サイゴンを皮切りに、長引く戦闘で士気の低下したアメリカ兵を慰めるため、各地のステージで歌い踊る。
オーストラリアの閉ざされた田舎からやってきた4人の女の子は、飲んだくれのマネージャー(Chris O'Dowdが好演)と一緒に世界の最先端へ飛び出して行った。
いわゆるハートウォーミングな映画でハッピーエンドだが、そのストーリーの狭間からは、過酷で悲惨な現実が透けて見える。
白豪主義の時代、アボリジニへのあからさまな蔑視、メンバーの一人はStolen Children(アボリジニの子供たちをさらって白人として教育された)だ。そして戦争。
ヴェトナム戦争は泥沼化し、アメリカ本国では反戦運動が盛んになる一方で、キング牧師が暗殺された。
そんな時代と音楽がバランス良く描かれた素晴らしい映画だ。