2012年08月11日

「Hysteria」Tanya Wexler


タニア・ウェクスラーの「ヒステリア」は「Romantic comedy about the invention of the vibrator in Victorian England」という史実に基づいた傑作な物語。
ストーリーはネタバレになるので詳しくは書かないが、女性のヒステリーを治すため、毎日毎日、右手が腱鞘炎になるほど「治療」に励んでいた若き医者が、友人の発明家が作ったハンド・ドリルみたいなダスターを見て、ある治療器具を思いつくという、真面目にして可笑しいというもの。
女性監督らしく、セクシャルだが下品にならず、映像が美しい。キャラの立った役者たちも皆適役でいい。
この時代、ヴィクトリア朝のイギリスは面白い。
産業革命で工業化を遂げたイギリスは経済的にも文化的にも世界一だった。その反面、ディケンズの「Oliver Twist」に書かれたように、ロンドンには貧民があふれ、切り裂きジャックが夜な夜な女性をばらばらにしていた。刑務所がいっぱいになったので、植民地オーストラリアにせっせと囚人を送り込んでいた頃だ。
この映画の中でも街中は馬糞だらけ。パスツールがやっと微生物を発見した頃なので、衛生観念なんてない。病院の中では医者がウンチまみれの靴で歩きまわり、患者は汚い包帯が巻かれたまま放ったらかしにされていた。
世界の工場だったイギリスは色々なモノを作り出した。産業革命で生まれたバイブレーターによってヒステリアからの解放を発見したこの時代は、女性解放の始まりでもあったのだ。
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