2009年09月29日

「Ponyo」 Hayao Miyazaki

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宮崎駿の「崖の上のポニョ」がようやくオーストラリアでも公開された。「Ponyo」はディズニーが作った英語版なので、英語字幕ではなく吹き替えになっている。
ストーリーは簡単。人間の男の子を好きになってしまった人魚姫の物語、なのだが、ここに描かれた世界の背景はすごい。
ヒトはこの世界の中で生きるモノの一つとして、プランクトンやクラゲやカニや魚と同じ目線で描かれている。
ヒトの社会は魚の群れと同じ程度にしか重要ではない。
なにしろポニョの引き起こした大洪水で多数の町が水没し、人が大勢死んだに違いないのだが、あまりに緊張感がない。人々はなぜかこういうこともあると平然と受け止めているようだ。
赤ん坊を連れた夫婦はまるでのんびりと休日のボート遊びを楽しんでいるみたいだし、漁村の男たちも海祭りのように賑やかに騒いでいる。
しかも、マンガ版「幻魔大戦」のラストシーンみたいに美しく禍々しい月が地球に異常接近して引力が変化し、いったいどんな天変地異が起きたか、どんなひどい災害に見舞われたか、それはこの映画では描かれていない。
そんな裏にあるストーリーよりも、ここではその見事な映像表現をただ楽しむべきなのだろう。
海の生き物や復活した古代魚は「ナウシカ」の腐海の森の虫たちのように魅力的だし、ポニョが波に乗って宗介を追いかけてくるシーンは素晴らしい。「もののけ姫」でシシ神が爆発するシーンと並んでアニメーション表現の一つの極限だろう。全然関係ないが、アレクサンドル・グリーンの「波の上を駆ける女」を思い出した。
徹底した自然主義というか、5歳児から見た世界の在りようはこのようなものだと納得させられる。そんな表現を、もう老人と言ってよい年齢の宮崎駿ができることはすごいと思う。
この記事へのコメント
おおお!
やっと観る気になるレビューを発見。
観てみます〜〜
Posted by kumiko-nya at 2009年09月29日 22:20
まあ、5歳児になったつもりで楽しんでください。
背景は神話の世界なので下世話なオトナの基準で量ってはなりません。
あ、宗介の母リサはタフで可愛くてぼくの好みです(^.^)。
Posted by Tats at 2009年09月30日 08:21
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