2020年03月04日

「Parasite」Bong Joon Ho


昨日、ポン・ジュノ監督の「パラサイト」という映画を観てきた。
カンヌ映画祭とアカデミー賞の最高賞を獲得した韓国映画というので、オーストラリアでも以前から話題になっていた。
脚本、演技、演出、映像、音楽、すべてとても良くできていて、面白かったのだが、その背景にあるものはとてつもなく重い。
かび臭く湿った半地下の劣悪な部屋で暮らす貧困家族が、身分を偽って、上流階級の家族に取り入って、仕事を得る。
貧しくても仲が良く決して頭が悪いわけではない親子4人が策略を練って、裕福な家庭に入り込んで行く様子は痛快だ。
スラップスティック・コメディのように楽しめた前半から、後半は一気にモードが変わり、華やかなパーティーの最中、血まみれの惨劇になだれ込んでいく。

この映画は、今の韓国が階級社会であること、富裕層と貧困層の間には大きな格差があることが描かれている。
登場人物は皆、いい人だ。極悪非道な悪党は誰もいない。皆いい人なのに、なぜこんなことになってしまうのか。殺し合う必要などなかったはずなのに。
社会システムが悪い、としか言いようがないが、では、それを変えるにはどうしたらいいのだろう?
映画の最後のシーンは辛い。
豪邸の地下室に隠れ住んだ父を思って、息子は夢見る。
いつの日か金持ちになって、きれいなスーツに身を包み、母と一緒に、あの豪邸に行き、地下室の父親を救い出しに行く、という夢。
彼の夢はかなわないだろう、と思うと悲しい。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]