痛みがおさまったので、ヘレンはフィジオ・セラピストと一緒に二回のエクササイズをこなし、さらに夕食後、自力で歩く練習をしていた。
廊下の先にあるラウンジまで、自分ひとりで歩いて行けたのは、今日が初めてだ。

病院食は、どこでもそうだが、まあ不味くはないが、美味しいとは言えない。
なので、今夜の病院食はオーダーせず、近くのフイッシュ・ショップで、グリルしたバラマンディを買ってきた。
久しぶりにちゃんとした魚料理に、ヘレンは喜んで全部食べてくれた。

やはり、火を入れすぎて固くなった冷凍魚とは大違いだ。以前、それが出たときは、ヘレンはこんな味も素っ気もない固い魚なんか食えない、と文句を言っていた。
これは不味いとか、あれが食べたいとか、言えるようになったのは、元気が出てきた証拠なので嬉しい。