
昨日、Kings CrossにあるHayes Theatreで「Dogfight」というミュージカルを観てきた。
アメリカ人の劇作家Peter Duchanが脚本を書き、1991年に映画化された後、Benj PasekとJustin Paulがミュージカル用に曲を書いて、2012年に Off-Broadwayで初演された。

舞台はヴェトナム戦争の時代。
エディは荒くれ者のUSマリーンズの一員。サン・フランシスコから船に乗って沖縄へ向かう前日、食堂で働きながら歌を歌っていたローズに出会い、初めての恋をする。
ローズと別れ、そしてヴェトナムへ送られたエディたち海兵隊は悪夢のような戦闘に巻き込まれる。
この時、ステージは撃ちまかれた銃の閃光と轟音に包まれた。
海兵隊の仲間たちは皆殺され、エディは独り虚ろな目をしてサン・フランシスコへ戻り、ローズを探す。
戦争は人の尊厳や優しさや愛情など、大切で価値あるものを壊してしまう。
粗暴で下劣で浅ましい生き方を強いられた人間にとって、後に残るのはどんよりとした虚しさだけだ。
エディはローズの元に帰ることが出来た。
再会した二人がただ静かに抱き合う最後のシーンでは感無量になる。
ハッピーエンドで終わらせたこの作者は優しい。
ぼくらは、そうではない帰還兵の物語も−たとえば「ランボー」のように−たくさん知っているのだ。