2008年03月25日

「The Bucket List」Directed by Rob Reiner

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余命数ヶ月と宣告された末期ガン患者、エドワード(ジャック・ニコルソン)とカーター(モーガン・フリーマン)の物語。
会社を大きくすることだけが生き甲斐だったエドワードは、億万長者だが家庭もない。ただひたすら家族のために働き通しだったカーターは、66才になってもしがない自動車修理工だ。まるで共通点のない対照的な二人が、病院で偶然出会い、死ぬ前にやりたい事のリストを作る。
病院での治療中、抗ガン剤の副作用で苦しむ二人の様子がリアルだ。カーターは妻を制止し、治療を断念する。眠れぬ夜に苦悶し、便器をかかえて吐き続けるような日々を誰が続けたいか? 最初はカーターが戯れに作ったリストだったが、二人はそれを実行に移す。死ぬ前にやりたいことといっても、たわいもないことばかりだ。スカイダイビング、入れ墨、カーレース、サファリ、万里の長城をバイクで走ること等々。エドワードのプライベート・ジェットで世界を駆けめぐり、二人は一つずつ実行しては線を引いて消してゆく。
短いが贅沢な時間を過ごした後、カーターが先に死ぬ。最後はヒマラヤの山頂に二人の遺灰が納められ、リストに残っていた彼らの最後の望みはかなえられた。
とても重いテーマなのだが、過度に深刻になりすぎないようコメディー・タッチで仕上げてある。それでも、私の父も末期ガンなので、映画の最後の方は観ているのが辛かった。誰でも死ぬという事実に対しては何もすることができない。救いようがないのだ。
死期の迫ったカーターはエドワードに手紙を残していた。その中には『Find the joy in your life』と書かれていた。死にゆく人に向かって、私はそんなことが言えるだろうか。カーターは『今からでも遅くない』と言ったが。

この映画を観た後、なぜか40年近く前に読んだ星新一の「鍵」を思い出した。『今の私に必要なのは思い出だけだ。そしてそれは持っている。』と言って静かに死んでいく孤独な男の物語だ。もうこれで十分だと思えるような思い出を持つことができたこの男は幸せだ。
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