2019年08月17日

2つの物語

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今日の午後、二週間前に訪れた霊園を再訪した。
ロケーション別に値段が記載されたパンフレットを片手に、様々なタイプの墓石を見て歩く。
霊園の奥にある池の畔は静かでいい。ここにしようかな。
ヘレンの葬儀をしたチャペルが目に入ると、辛い思い出がよみがえってくる。
重い岩が入っているように胸がつかえるのだ。
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ヘレンが亡くなった後、僕は2つの小説のことを思い出していた。
一つは、フランスの著名な現代作家 Michel Houellebecq(ミシェル・ウエルベック)の「プラットフォーム」、もう一つは、たぶん誰も知らないであろうイギリス人作家 David Thompson(デイヴィッド・トンプソン)の「Bangkok Kiss」だ。
どちらの小説の主人公も作者と同じ名前をつけられている。
母国(フランスとイギリス)での暮らしにうんざりしていた彼らは、タイ旅行に行った時、最愛の女性に出会い、そして、亡くす。
最愛の人を亡くした後、二人の主人公、ミシェルとデイヴィッドはまったく対照的な行動をとる。
ミシェルは、彼女がイスラム過激派に撃ち殺された後、パリに帰ったが、またタイに戻ってくる。
安宿に引きこもって彼女の思い出を紙に綴る以外は全く何もせず、ただ静かに死ぬ時を待っている。
デイヴィッドは、彼女がさとうきび畑で焼死した後、彼女の生まれ故郷の小さな村に留まる。
ロンドンからやってきた友人に、イギリスに帰るかい?と訊ねられた時、デイヴィッドは、『帰らないよ、ここが僕のホームだから』と答える。
僕は、ミシェルとデイヴィッド、二人のどちらの気持ちもよく分かる。
多分、僕はミッシェルのような気持ちを持ちながらも、デイヴィッドのように生きていくような気がする。
posted by Tats at 18:00| Comment(2) | TrackBack(0) | シドニー日記